ED(勃起不全)を克服するためにはパートナーの理解が必要
~女性のためのED講座~

彼氏や夫がEDかもしれない・・・・・と感じたら
女性が彼氏や夫に求めるものは、愛情、コミュニケーション、誠実さ、男らしさ、子供との関わりなどがあげられます。
関係を続ける上で、特に重要視するのが愛情という人は多いですが、その愛情を確認したり触れ合ったりするための性交に障害が起きているのです。
その原因がED(勃起不全)です。
このEDについて、2014年に彼氏や夫を持つ女性500人を対象とした調査が実施されました。
その結果から4分の1の女性がEDをネガティブと考え、その要因が女性の魅力が低下し自信喪失に繋がっていると回答した人が6割ほどいることがわかりました。
かつ、男性側にED対策をお願いした女性は僅か3割しかいないこともわかりました。
これはEDが男性の性機能不全であることの理解不足が明らかとなった結果です。
EDが原因で関係に溝を作ったり、離婚問題へ発展したりと悪い方向へ進むことは珍しくありません。
そのため、EDが病気であることや正しい治療で改善できることなどを女性が理解することが重要です。
そこでこの問題を解決させる方法として女性がEDを正しく理解するという目的で、女性のためのED講座を開講します。
目次
EDとは年齢に関係なく男性なら誰にでも起こりうること
ED(勃起不全)の患者数は、2000年ごろは1,130万で男性の4人に1人の割合でしたが、最近のデータでは1,800万にまで増え3人に1人の割合へと増加しました。
年代別では、2009年に製薬企業が行ったEDのアンケート調査によると40代以上の男性の半数以上がEDの自覚があるという結果がでています。
それが最近の患者傾向として30~40代が増えていると言われるようになりました。
さらに驚くべきことに20代でも増えているのです。
これらの情報から、EDの低年齢化が進んでいることがわかりました。
以前からいわれてきたEDの多くの原因は、糖尿病や高血圧、それに動脈硬化などの生活習慣病でした。
これは40代前後から発症するこれらの病気の特徴が物語っており、年代別の傾向と同じです。
ところが20~30代の男性に心因性EDが増えてきています。
この心因性EDは、過去の性交時の失敗、パートナーから言われた心が傷つく言葉、性交時の緊張や不安などが原因といわれています。
また会社での人間関係のストレス、夫婦間のトラブルや家庭内のストレスなども、この心因性EDの大きな要因になると考えられています。
これらに加え、マスターベーション時には勃起するが性交時には勃起しない若い人がいるとの報告もでています。
このように10年前にいわれていた年齢別EDの傾向が若年化することは、子供の出生率が低下し少子高齢化社会の日本においては大きな問題です。
また40代前後から発症するEDは、男性と女性の間に溝を作り出すと言われています。
EDによってスキンシップが極端に減少し、平行してコミュニケーションも減少し、女性側の浮気や不倫、そして離婚へと発展することもあります。
現在の日本の離婚率の増加はEDも関わっているのかもしれません。
すべてではありませんが、無理解な言葉や人格否定などによりEDになったり悪化させられる男性がいることを考えると、EDという病気は女性の理解不足により低年齢化させられている側面もあるのでしょう。
このような点からEDは男性だけの問題ではなく、女性側も関わっていく必要があると考えられています。
男性特有の病気、EDについて正しく理解しよう
EDの正式名称は「Erectile Dysfunction(エレクタイル ディスファンクション)」であり、Erectileの意味は勃起性、Dysfunctionの意味は機能不全、これを日本では勃起不全と呼んでいます。
EDの定義は、日本性機能学会と日本泌尿器学会が発表しているEDガイドラインによれば、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できないが持続または再発すること」になっています。
この定義から、男性の陰茎が完全に勃起しない、この勃起状態が中折れし継続できない、これが再発するだけを指すのだと考える人は少なくないでしょう。
ところがEDとは勃起不全や性機能低下といわれ、性交時に男性の陰茎がその役目を果たせない症状全般を指します。
当然ですが、性交において男性と女性の生殖器官の役割は違います。
そのため感染症以外の病気は男性特有の病気になります。
正常な男性の勃起は、大きくわけると神経系と血管系の2つになります。
まず1つ目の神経系は、視覚や聴覚などの五感にから性刺激を受けることで、この刺激が脳から刺脊椎を通って陰茎周辺へ伝達されます。
これを受けて2つ目の血管系の作用が働きます。
血管系では陰茎へ大量の血液を流入させるためにオルニチンという回路を使いL-シトルリンからアルギニンへ変換されるときに放出される一酸化窒素を増やします。
これが陰茎の毛細血管に無数にある血管を拡げるサイクリックGMPを動かします。
この活動により陰茎動脈から大量の血液が陰茎海綿体と尿道海綿体を膨らませます。
この2つはスポンジ状になっており、その周りを覆う白い膜がある一定まで来ると膨張を圧力に変え、血液が陰茎静脈へ戻るのを止めます。
これにより陰茎は勃起状態になり、圧力により射精が完了するまで膨張を継続させます。
EDは、この神経系と血管系のどこかに障害が発生することで発症します。
なおEDのタイプは心因性、器質性、混合性、薬剤性の4つにわけられます。
性交時のトラウマや仕事のストレスなどの心が原因となる心因性EDと、うつ病や統合失調症などのメンタル系が原因となる精神病性EDに悩まされる男性は、少なくありません。
中には、興奮があっても勃起しないケースや性的興奮すら感じないケースもあるようです。
器質性EDは、加齢、糖尿病、高血圧、動脈硬化、外傷などによって血管が詰まったり傷ついたりすることが原因で起こる血管性のEDです。
混合性EDは機能性EDと器質性EDの両方が発現したときのEDです。
薬剤性は、抗うつ薬や降圧剤などの副作用が原因で発生するEDとなります。
このように男性の性機能は、女性の月経などと比較すると単純そうに見えますが、実は繊細にできているのです。
女性からの些細な言葉や生活習慣病などで簡単にEDになる可能性があることを忘れてはいけません。
EDの治し方にもいろいろあります
カウンセリング
ED治療におけるカウンセリングは、初診時からはじまるケースが多いそうです。
それは、男性が自分をEDではないかと疑った時から、精神的ストレスを感じているためです。
このカウンセリングによる治療は、一般的なメンタルケアと同じように心が原因となる機能性EDの男性が対象だと考えがちです。
しかしED治療をしているクリニックでは、血流障害の男性にも薬剤治療と併用してカウンセリングをしているところがあります。
男性にとって性機能低下は男性としてのプライドを深く傷つけられる症状なので、器質性EDと思われても精神的なケアが必要になるためです。
投薬治療
EDという疾患があることを世の中へ知らせ理解させたのが、ED治療と言っても過言ではありません。
その立役者となったのが、世界的に有名なバイアグラです。
バイアグラが発売されたのが1999年、それから8年後にレビトラとシアリスが発売されました。
現在、これらの3大ED治療薬と呼ばれる医薬品が主に治療に使われ、その効果が実感されています。
このバイアグラとレビトラとシリアスは、EDの原因となる陰茎への血流を改善することで治療をします。
ED治療薬とは、陰茎の血流増加をさせるために血管拡張の働きをするサイクリックGMPの動きを止めるPDE5という酵素を阻害することでEDを改善する働きのある薬です。
服用は1日1回、性交前に飲むだけでしっかりと効果を発揮します。
ところが、効果の高い薬剤ほど副作用のリスクも高くなります。
そのため3剤とも顔のほてり、頭痛、動悸、頻脈、紅潮、鼻づまり、目の充血など、血管が拡張されたことで発生する副作用が現れるケースがあります。
また、狭心症などでニトログリセリンや亜硝酸アルミなどを服用している男性は使用できません。
心筋梗塞などの心血管系の疾患をもっていると服用を禁止されることもあります。
血管を拡張することで、血圧に関係する疾患をもっていると血圧がかなり落ちると可能性が高くなるからです。
この他に、性腺刺激ホルモンの筋肉注射や男性ホルモンの補給なども、ED薬剤治療として確立されています。
投薬治療がされるEDのタイプは、器質性EDと混合性になりますが、機能性EDでも投薬する場合があります。
手術
EDは手術による改善もできます。
バイアグラなどのPDE5阻害薬が効果を示さない外傷や、ニトログリセリンや心血管系の疾病をもっていてED治療薬の投与ができない男性などが適用されます。
外傷などが原因となってEDになる神経系や血管系については、その障害された部分を手術して改善にあたります。
手術ができる部分とできない部分があり医師との相談になるため、希望した人が全員受けられるわけではありません。
またバイアグラなどのPDE5阻害薬が投薬できない狭心症や心筋梗塞を持った方や持病の治療するための投薬によりED治療ができない方はICI治療を選択することができます。
これは陰茎に血管拡張をさせる塩酸イソクスプリンを直接注射する方法で、この方法であれば、3剤のPDE5阻害薬が全身のサイクリックGMPへ作用するので、ED治療ができない方には局所の治療だけで済ませらせる安全な方法になります。
しかし性行為の2~3時前にクリニックへ行き、医師に注射して貰うことになるため、少し面倒な治療方法といえます。
また物理的に陰茎へ血液を流し込む方法もあります。
陰圧式勃起補助具の中に陰茎を入れ、陰圧で血液を陰茎に集め陰茎の根元をゴムバンドで圧迫し血液が逃げないようにすることで、正常な勃起状態を促す方法です。
これもバイアグラなどが使用できない場合に有効です。
この他に、ED1000という機器を使用して陰茎に刺激を与えて新しい血管を作り出す方法もあります。
ですがED治療においての第一選択は、やはりバイアグラなどの即効性が見込めるPDE5阻害薬といえるでしょう。
生活改善
ED治療においての生活改善は、まずは食生活からの見直しになります。
EDは糖尿病や高血圧それに動脈硬化などが引き金となって発症するといわれています。
そのため、これらの病気を悪化させないように高カロリー食、高塩分食、高脂肪食などは避けて、栄養バランスを考えた食生活にすることが基本となります。
さらに栄養のバランスを考えながら、EDに効果があると言われている亜鉛、L-シトルリン、アルギニンなどが含まれた牡蠣や大豆などを食べると効果があります。
次に喫煙ですが、ニコチンなどの成分が血管内を傷つけたりすることもあるため、禁煙するか本数を減らすなどの改善が必要です。
また飲酒は、適量はリラックス効果があるため良いとされていますが、大量の飲酒は中枢神経を麻痺させ、早漏などを招く恐れもあるため控えましょう。
適切な運動は筋肉や内臓の年齢を若返らせ、生活習慣病を改善させる効果もありストレス発散や気分転換になりますので、1日10分だけでもはじめると良いでしょう。
女性がEDを知ることでセックスレスは免れる?
まずはEDが男性特有の病気であることを認識してください。
それから、男性は性交において、男としてのプライドがあるためEDと自分を疑っていても相談することができないことを女性は理解することが必要です。
2014年に実施された「EDの彼氏や夫を持つ女性500人を対象とした調査」において、EDになった彼氏や夫をどう思いますかという質問に対して、「前向きに対処していく」と答えた女性は15%しかいませんでした。
残りは「何とも思わない」が60%、「悪い方向に考える」が25%という回答になりました。
このことから、EDを正しく理解していない女性が80%以上いると考えられます。
ここで少し別の角度から、EDが病気であり女性の協力が必要であることを説明します。
女性なら誰しも不安になる乳がんについてですが、これを発見するのは性交時の夫が多いといわれています。
これは、愛情があってこその結果ではないでしょうか。
この話から考えると、EDにかかった彼氏や夫に対して関心がない、または一方的に悪い方向に考えることそのものが、お互いの関係を悪化させる問題になりえます。
さらにEDになった彼氏や夫に対して悪い方に考える女性からは、ほかの女性と浮気をしている、気持ちに溝ができた、不快だ、役立たず、絶望といった回答がありました。
驚くことに、EDになった彼氏や夫を持つと10人に1人は、不倫と浮気に及ぶとの結果が報告されています。
ここでEDが病気であり、適切な治療を受けることで改善できるのだと理解していれば、逆に愛情の見直しができるのではないでしょうか。
EDについて会話を持つ機会が失われると、やがてセックスレスになりEDの進行具合がお互いに分からないまま、いずれ会話もなくなり離婚へと発展することもあります。
ここまでくると、EDを治療するなどという考えはなくなっているはずです。
そこで女性がEDを男性特有の病気であることを理解すれば、彼氏や夫のプライドを傷つけずに会話ができるでしょう。
それは愛情をもつ女性にしかできないことです。
彼氏や夫がEDにかかったのではないかと疑問を持った時、EDが病気であり愛情の深さによって左右されるものではないと理解できていれば、専門の病院に行って相談するという選択肢も取れます。
相手の状態を正しく理解し向かい合うことで、女性はセックスレスや離婚から免れることができ、愛情の賜物である子供を授かることができるのではないでしょうか。
ED克服のためにパートナーができること
彼氏や夫がEDになったときに女性ができることは、ED専門の医療機関を受診させることです。
まずはこれが優先です。
今やEDは改善できる病気です。
しかし、この病気の恐ろしい点は悪化すると女性と男性の間に溝ができ、さらに症状が深刻化することでセックスレスになり最悪の場合、離婚に向かうという可能性があることです。
これは癌も同じでしょう。
癌は早期に発見すれば手術や投薬で完治ができるくらい、医療技術が進歩してきました。
しかし癌を放置していれば絶対に悪い方向に進みます。全ての病気にいえることです。
そのため、EDも男性本人だけではなくパートナーである女性が気付くことで早期治療が可能になり、愛情も深まり良い方向へと進むでしょう。
男性も自分の体とEDについて知識を持つことも必要ですが、それを助ける女性側にもEDの知識は必要になります。
参考文献
ED-info.net
公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ
EDネットクリニック.com
ED治療薬
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